お役立ちコラム

2027年から源泉徴収票の税務署提出が不要に?給与支払報告書と30枚基準をわかりやすく解説

目次[非表示]

  1. 1.結論|2027年1月からの変更で押さえる3つのポイント
  2. 2.背景|「源泉徴収票」「給与支払報告書」「法定調書」は何が違う?
  3. 3.今すぐできる対策|年末までの10項目チェックリスト
  4. 4.よくある失敗と回避策|小さな会社が注意したい5つの落とし穴
  5. 5.具体的な進め方|給与支払報告書と法定調書の5ステップ
  6. 6.外注・相談する判断基準|給与計算と提出業務をどう分ける?
  7. 7.よくある質問|2027年の源泉徴収票・給与支払報告書FAQ
  8. 8.まとめ|2027年は提出書類より業務の流れを見直そう

【対象読者】従業員1〜20名程度の会社・個人事業主、給与計算や年末調整を担当する方へ。2026年分の給与について、2027年1月に提出する「給与支払報告書」「源泉徴収票」「法定調書」の違いを整理する実務ガイドです。

「毎年、税務署と市役所に同じような書類を出している」「来年から源泉徴収票を出さなくてよいと聞いた」「電子提出は従業員30人以上から?」。年末が近づくと、こうした疑問が出てきます。2027年1月からは、給与支払報告書を市区町村へ提出すると、一定の要件のもと税務署へ源泉徴収票を提出したものとみなされる新しい取扱いが始まります。一方、法定調書などの電子提出義務も、従来の100枚以上から30枚以上へ引き下げられます。

ただし、「源泉徴収票そのものが不要になる」「従業員30人未満なら何もしなくてよい」と考えるのは誤りです。従業員への交付は続き、給与支払報告書の提出先や、報酬・退職金など別の法定調書の扱いも確認しなければなりません。この記事では、国税庁の2026年公表資料と神戸市・尼崎市の公式案内をもとに、判断表・10項目チェックリスト・具体例・5ステップで、今から準備できることを説明します。

結論|2027年1月からの変更で押さえる3つのポイント

1.給与支払報告書の提出で税務署分を省略

2027年1月1日以後に提出すべき2026年分以後の給与所得の源泉徴収票について、必要事項を記載した給与支払報告書を市区町村に提出すれば、税務署へ源泉徴収票を提出したものとみなされます。原則として税務署用を別に作って提出する必要はありません。ただし、本人に交付する源泉徴収票は従来どおり必要です。

出典:国税庁|源泉徴収票のみなし提出の特例 特設ページ

2.電子提出義務の判定基準は100枚以上から30枚以上へ

2027年1月1日以後の法定調書については、法定調書の種類ごとに、前々年に提出すべきであった枚数が30枚以上なら、e-Tax等による提出が必要です。給与支払報告書にも電子的提出義務の基準があり、判定は基準年に税務署へ提出すべきであった源泉徴収票の枚数で行います。従業員数や市区町村への給与支払報告書の総枚数だけで判断しません。

出典:国税庁|No.7455 法定調書の提出枚数が30枚以上の場合の電子提出義務

3.2026年分の実務上の提出期限は2027年2月1日(月)

国税庁の「令和8年分 法定調書の作成と提出の手引」は、対象の法定調書の提出期限を2027年2月1日(月)と明記しています。例年の1月31日が日曜日に当たるためです。給与支払報告書も提出先は市区町村で、年末調整から1月の作業を逆算する必要があります。

出典:国税庁|令和8年分 法定調書の作成と提出の手引・第1章(提出期限)

背景|「源泉徴収票」「給与支払報告書」「法定調書」は何が違う?

給与所得の源泉徴収票は、給与を支払った内容を示す書類です。給与支払報告書は、市区町村が個人住民税を計算するための資料として使います。税務署へ提出する法定調書には、給与所得の源泉徴収票以外にも、退職所得の源泉徴収票、報酬・料金等の支払調書、不動産関係の支払調書などがあります。名前が似ていても、提出先・対象・必要性が同じではありません。

2026年分からの「みなし提出」は、市区町村に提出した給与支払報告書の情報が税務署へ連携される仕組みです。給与支払報告書をeLTAX、光ディスク等、書面のいずれで提出しても、要件を満たせばみなし提出の対象となります。ただし、電子提出が義務付けられる事業者は、書面を選ぶことはできません。

出典:国税庁|源泉徴収票のみなし提出の特例に関するQ&A(令和8年4月)問4・問8

書類別に見る提出先と2027年からの取扱い

書類

主な提出先・交付先

2027年1月からの実務

給与支払報告書

従業員の住所地の市区町村

引き続き提出。提出すれば源泉徴収票を税務署に提出したとみなされる

給与所得の源泉徴収票

従業員本人

本人への交付は継続。税務署提出分は原則みなし提出

退職所得・報酬等の法定調書

所轄税務署

提出要否を個別に確認。みなし提出だけでは省略されない

法定調書合計表

所轄税務署

給与分だけなら原則不要。他の法定調書を出すなら必要

特に見落としやすいのが合計表です。税務署へ出す法定調書が給与所得の源泉徴収票だけで、給与支払報告書によってみなし提出となるなら、法定調書合計表も不要です。一方、税理士報酬などの支払調書や退職所得の源泉徴収票を税務署へ提出する場合は、引き続き合計表を作成します。その際、みなし提出となる給与所得の源泉徴収票に係る記載は不要です。

出典:国税庁|源泉徴収票のみなし提出の特例に関するQ&A(令和8年4月)問8

また、2026年9月に、eLTAXで源泉徴収票と給与支払報告書を同時作成・提出する従来の「一元化機能」は終了しました。今後は市区町村へ給与支払報告書を適切に提出する流れを中心に設計しましょう。

出典:国税庁|源泉徴収票のみなし提出の特例 特設ページ(提出方法)

今すぐできる対策|年末までの10項目チェックリスト

□ 2026年中に給与を支払った従業員・役員・パート・アルバイトを一覧にした。

□ 2027年1月1日現在の住所地を本人に確認する担当者を決めた。

□ 2026年中の退職者と、その年の給与支払額を別に確認した。

□ 2025年中に「税務署へ提出すべきだった源泉徴収票」の枚数を確認した。

□ 報酬等の支払調書など、給与以外の法定調書を種類ごとに洗い出した。

□ 30枚基準を満たす種類があるか判定し、電子提出方法を決めた。

□ eLTAXの利用者情報・送信担当者・必要な電子証明書等を確認した。

□ 氏名・住所・生年月日・マイナンバー等の確認手順を整えた。

□ 源泉徴収票の本人交付と給与支払報告書の提出を別々に管理する。

□ 2027年2月1日までの作業日程と最終確認者を決めた。

チェックリストは、最初からすべてを経営者が行うためのものではありません。「社内で確定する情報」「給与計算担当者が作るデータ」「税理士等に判断を依頼する事項」に分けて、責任者と締切を決めるために使ってください。とくに住所や退職日などの元情報が違うと、後工程の書類を何度も作り直すことになります。

よくある失敗と回避策|小さな会社が注意したい5つの落とし穴

失敗1|「源泉徴収票は不要」と聞き、従業員に渡さない

省略されるのは、要件を満たす場合の税務署提出用です。従業員本人への交付義務は変わりません。退職者への交付は退職後1か月以内という別の期限があります。給与支払報告書の提出状況と、本人へ源泉徴収票を渡した記録は、別のチェック欄で管理しましょう。

出典:国税庁|源泉徴収票のみなし提出の特例に関するQ&A(令和8年4月)問3

失敗2|「従業員が30人いないから電子提出義務はない」と考える

30枚基準は、原則として前々年に提出すべきだった法定調書の種類別枚数で判断します。2027年の判定では、2025年中に提出すべきであった2024年分などの調書枚数が基準です。給与の受給者数が少なくても、報酬等の支払調書が30枚以上なら、その種類について電子提出義務が生じ得ます。

出典:国税庁|No.7455 法定調書の提出枚数が30枚以上の場合の電子提出義務

失敗3|給与支払報告書を税務署へ出し、市区町村への提出を忘れる

みなし提出は「市区町村への提出をした場合」に税務署提出が不要になる制度で、逆向きではありません。税務署に源泉徴収票を提出しても、市区町村へ給与支払報告書を提出したことにはなりません。従業員の住所地ごとに提出先を整理してください。

出典:国税庁|源泉徴収票のみなし提出の特例に関するQ&A(令和8年4月)問6

失敗4|給与の書類だけ見て、報酬・退職金の支払調書を忘れる

たとえば会社が税理士やデザイナーに報酬を支払っている場合、支払調書の提出要否を確認する必要があります。2026年分からは退職所得の源泉徴収票の提出範囲にも変更があるため、退職金の支払いがあった会社は特に注意してください。対象・提出範囲は法定調書の種類ごとに異なるため、金額だけで機械的に判断せず、税理士等に確認しましょう。

出典:国税庁|令和8年分 法定調書の作成と提出の手引・第1章(主な改正事項)

失敗5|電子提出の準備を1月末に始める

eLTAXの利用開始や給与ソフトからのデータ出力方法を確認しないまま年明けを迎えると、書式や個人情報の修正に時間を取られます。送信前にデータを試作し、担当者不在でも対応できるよう、ログイン管理と作業手順を整えておくと安心です。マイナンバーなどの個人情報は、閲覧権限や送付方法を限定して管理してください。

出典:国税庁|「給与支払報告書」はeLTAXで!(事業者用ページ)

具体的な進め方|給与支払報告書と法定調書の5ステップ

STEP1|提出対象者を確定し、住所と退職情報を整理する

まず給与台帳をもとに、2026年中に給与を支払った人を抽出します。役員、正社員、パート、アルバイト、年途中の入退社を含め、支払対象を確認してください。給与支払報告書は原則として翌年1月1日の住所地の市区町村へ提出します。中途退職者は提出要否や退職時住所などの確認が必要です。

【具体例】神戸市の会社で、神戸市在住7人、尼崎市在住3人、明石市在住2人に給与を支払ったとします。会社の所在地が神戸市でも、給与支払報告書を神戸市へ12人分まとめて提出するのではなく、各人の住所地の市区町村に対応させます。eLTAXなら複数自治体分の提出を効率化できます。

出典:国税庁|源泉徴収票のみなし提出の特例に関するQ&A(令和8年4月)問4

STEP2|2025年の「提出すべき枚数」を種類ごとに数える

次に電子提出義務を判定します。2027年に提出する書類の基準年は2025年です。2025年に実際に提出した枚数ではなく、「提出すべきであった枚数」を確認します。給与所得の源泉徴収票については、2026年分から提出範囲が変わっていますが、基準年の枚数は改正前の提出範囲で判定する点にも注意してください。

【具体例】2025年中に提出すべきだった報酬等の支払調書が35枚、給与所得の源泉徴収票が18枚だった場合、2027年に提出する報酬等の支払調書は電子提出義務の対象となります。一方、給与支払報告書の電子提出義務は、給与所得の源泉徴収票の基準年枚数をもとに別途判断します。「合計53枚だからすべて電子提出」という計算はしません。

出典:国税庁|源泉徴収票のみなし提出の特例に関するQ&A(令和8年4月)問9

STEP3|提出方法と給与ソフトの出力方式を決める

給与支払報告書はeLTAXを第一候補に、ソフトの対応状況、電子証明書、担当者の利用環境を確認します。税務署へ提出する報酬等の支払調書はe-Taxソフト(WEB版)で作成・提出でき、CSVデータの読込みにも対応しています。給与支払報告書と他の法定調書ではシステムや提出先が異なるため、社内の手順書も分けてください。

出典:e-Tax|法定調書の作成・提出について(WEB版・CSV利用)

STEP4|神戸市・尼崎市など提出先自治体の注意点を確認する

全国共通の制度とは別に、自治体ごとの提出案内も確認します。神戸市は、2026年7月30日更新の公式ページで、e-KOBEによる給与支払報告書の受付を2026年度提出分で終了し、2027年度(2026年中支払分)からeLTAXの利用を検討するよう案内しています。また、神戸市のeLTAX案内は2027年1月からの30枚基準も明記しています。

出典:神戸市|給与支払報告書の作成・提出/eLTAXによる提出

出典:神戸市|eLTAXによる提出(2026年8月13日更新)

尼崎市は公式サイトで給与支払報告書の様式・提出対象・普通徴収切替理由などを案内しています。ただし、確認できた掲載ページは2026年度用の内容です。2027年度用の様式・案内が更新されたかを提出前に確認してください。国の「みなし提出」制度と、尼崎市固有の記載要領を混同しないことが大切です。

出典:尼崎市|給与支払報告書(個人別明細書・総括表)

STEP5|本人交付・自治体送信・税務署提出の3方向で最終照合する

提出前に「給与台帳の人数と金額」「市区町村別の給与支払報告書」「従業員本人への源泉徴収票」「税務署へ提出する給与以外の法定調書」を照合します。電子送信した場合は、送信したという記憶だけに頼らず、受付結果や控えを確認・保管しましょう。訂正が必要になったときに備え、作成元データと修正履歴も残します。

小規模事業者では、12月の給与確定から1月末までの間に、年末調整、従業員への交付、自治体への提出が重なります。給与の締日が月末であれば、早めに住所確認を始め、給与データ確定後に集計する順序を決めておくと、無理のないスケジュールになります。

出典:国税庁|令和8年分 法定調書の作成と提出の手引・第1章(提出期限・提出方法)

外注・相談する判断基準|給与計算と提出業務をどう分ける?

従業員が少ない会社でも、給与計算担当者が年末調整、住所確認、法定調書の提出を兼務していると、1月の作業が集中します。毎年同じ資料を作り直す、退職者の情報が給与台帳に残らない、電子提出に不慣れで提出前の確認に時間がかかる、といった場合は、業務の流れを見直す好機です。

外部に相談する際は、まず「誰の住所情報を誰が確定するか」「給与計算データはどの形式で受け渡すか」「税務上の提出要否を誰が判断するか」を明確にします。給与データの整理や提出準備と、税務代理・税務書類の作成など資格が必要な業務は区別し、税理士と連携する体制を確認してください。

関連記事:初めて従業員を雇うときの手続きガイド:入社時に給与・住所・税情報をどこまで収集するか、最初の設計を確認できます。

関連記事:従業員が退職するとき会社がすること:退職者の源泉徴収票交付と、年末の給与支払報告書を混同しないための補足です。

関連記事:バックオフィス代行とは?:給与計算や書類整理を内製・部分外注のどちらにするか判断する参考になります。

ぴくさぽを運営する協同組合阪神商工共済会は、70年以上にわたり神戸・尼崎を中心とした中小企業の記帳、給与計算、労働保険事務、経営支援を行ってきました。開業前や従業員数が少ない段階でも、現状の書類や給与データを整理するところから相談できます。申告書類の作成や個別の税務判断などは、必要に応じて税理士等と連携して確認します。

よくある質問|2027年の源泉徴収票・給与支払報告書FAQ

Q1.源泉徴収票は2027年から従業員に渡さなくてよいのですか?

いいえ。税務署への提出がみなし提出になる場合でも、従業員本人への交付は必要です。中途退職者には退職後1か月以内という期限があります。会社での交付状況を記録してください。

Q2.給与支払報告書を紙で提出しても、みなし提出になりますか?

はい。国税庁Q&Aでは、eLTAX、光ディスク等、書面のいずれでも要件を満たせばみなし提出になるとされています。ただし、電子提出義務のある事業者は紙での提出を選べません。

Q3.従業員が15人の会社なら、電子提出義務はありませんか?

人数だけでは判断できません。2025年中に税務署へ提出すべきであった給与所得の源泉徴収票の枚数や、別種類の法定調書の枚数を確認します。基準年の数え方が不明な場合は、過去の提出控えをもとに税理士等へ確認してください。

Q4.税理士報酬の支払調書も市区町村に出せばよいですか?

いいえ。みなし提出の対象は給与所得などの源泉徴収票と支払報告書の関係です。報酬等の支払調書は、提出要件に該当する場合、引き続き税務署へ提出します。給与分の手続きが簡素化されても、ほかの法定調書の確認は必要です。

Q5.会社が神戸市、従業員が尼崎市なら提出先は?

原則として従業員の住所地の市区町村です。尼崎市に住む従業員の給与支払報告書は、尼崎市への提出を確認します。会社所在地だけでまとめて判断せず、年末から年始の住所変更も含めて確認してください。

出典:国税庁|源泉徴収票のみなし提出の特例に関するQ&A(令和8年4月)

まとめ|2027年は提出書類より業務の流れを見直そう

2027年1月から、給与支払報告書を市区町村に提出することで、税務署へ給与所得の源泉徴収票を提出したものとみなされる仕組みが始まります。同時に、法定調書の電子提出義務は、前々年の提出すべき枚数が種類ごとに30枚以上という基準になります。2026年分の提出期限は2027年2月1日(月)です。

押さえるべきなのは、①従業員への源泉徴収票交付は続く、②給与支払報告書は住所地の市区町村へ出す、③報酬・退職金など別の法定調書は個別確認する、という3点です。10月のうちから従業員情報と提出方法を整理しておけば、年末年始の負担を軽減できます。

神戸・尼崎・阪神地域で「今まで紙で提出していたが何を変えればよいか分からない」「給与計算ソフトのデータをうまく使いたい」という場合は、書類の整理段階からぴくさぽにご相談ください。何を聞けばよいか決まっていなくても大丈夫です。必要な確認事項を一緒に整理し、税務上の専門判断が必要な部分は適切な専門家につなぎます。

協同組合阪神商工共済会
協同組合阪神商工共済会
創業70年の実績がある協同組合です。 近年重要さが増しているスタートアップ支援、バックオフィス業務の整備などをサポートしています。 給料計算、会計データ入力などの経理部門はもちろん、人を雇用した際の社会保険・労働保険手続き、さらには販売促進や設備投資の際の補助金申請サポートまで幅広い範囲知見をもとに執筆いたします。