お役立ちコラム

経営力向上計画とは?中小企業が「経営改善」と支援制度活用を同時に進める5ステップ

目次[非表示]

  1. 1.(1)計画を作る目的は「支援制度を使うこと」ではなく、自社の改善点を明確にすること
  2. 2.(2)認定を受けると税制・金融支援等を検討できるが、制度ごとの要件確認が必要
  3. 3.(3)2026年は「人手不足への対応」と「生産性向上」を一緒に考える
  4. 4.補助金とは別の制度です
  5. 5.設備投資をするなら「買う前」の確認が大切
  6. 6.具体例|従業員6名の会社で「経理の月末集中」を改善する場合
  7. 7.失敗1|「使える税制があるから設備を買う」
  8. 8.失敗2|設備を先に取得してから制度を調べる
  9. 9.失敗3|計画を作って終わる
  10. 10.失敗4|補助金・税制・融資を全部同じものとして考える
  11. 11.失敗5|社内の数字が整理されていないまま申請を始める
  12. 12.STEP1|直近1年の数字と業務を見える化する
  13. 13.STEP2|改善したい課題を1~3個に絞る
  14. 14.STEP3|改善策と投資額を比較する
  15. 15.STEP4|経営力向上計画と利用したい支援措置を確認する
  16. 16.STEP5|実行後に数字で振り返る
  17. 17.内部リンク1|「記帳代行とは?」を読む理由
  18. 18.内部リンク2|「バックオフィス代行とは?」を読む理由
  19. 19.内部リンク3|「補助金・助成金申請サポート完全ガイド」を読む理由
  20. 20.Q1.経営力向上計画を作れば、必ず税金が安くなりますか?
  21. 21.Q2.設備を購入してから申請しても大丈夫ですか?
  22. 22.Q3.小さな会社でも検討できますか?
  23. 23.Q4.補助金の申請と同じですか?
  24. 24.Q5.何から相談すればよいか分かりません

この記事は、「売上はあるのに利益が残りにくい」「人が増やせないので今の人数で生産性を上げたい」「古い設備やシステムを更新したいが、何から考えればよいか分からない」という中小企業・小規模事業者の方に向けた記事です。

経営改善というと、補助金を探すことや新しい設備を買うことから始めてしまいがちです。しかし、本来は先に「どこに時間とお金がかかっているか」「何を改善すると付加価値が増えるか」を整理することが大切です。その整理に使える制度の一つが、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」です。

経営力向上計画は、人材育成、コスト管理などのマネジメント改善や設備投資など、自社の経営力を高める取組を計画としてまとめ、認定を受ける仕組みです。認定事業者には税制・金融面などの支援措置が用意されています。ただし、認定を受ければ自動的に税負担が減るわけではなく、支援措置ごとに別の要件があります。

出典:中小企業庁|経営力向上支援

結論|経営力向上計画で押さえたい3つのポイント

(1)計画を作る目的は「支援制度を使うこと」ではなく、自社の改善点を明確にすること

経営力向上計画では、自社の現状、経営課題、経営力向上の目標、具体的な取組などを整理します。例えば「請求書作成に毎月30時間かかる」「特定の担当者しか給与計算ができない」「老朽設備の停止時間が増えている」といった現場の問題を、できるだけ数字に置き換えることが出発点です。

そのうえで、クラウド化、業務標準化、人材育成、設備更新など、課題に合った取組を選びます。補助金や税制から逆算するよりも、経営課題から制度を選ぶ方が、投資後の成果も確認しやすくなります。

(2)認定を受けると税制・金融支援等を検討できるが、制度ごとの要件確認が必要

中小企業庁は、認定された事業者について税制や金融支援等を受けられる場合があると案内しています。一方、税制を利用する場合は、対象企業、対象設備、取得時期、事前手続きなどの要件を満たす必要があります。

特に設備投資を伴う場合、中小企業庁は、経営力向上設備等を取得する計画では申請前に工業会等の証明書または経済産業大臣の確認書を取得する必要があり、これらの証明・確認に関する申請は設備取得前に行う必要があると案内しています。設備を先に発注・取得してから制度を調べるのではなく、計画段階で確認することが重要です。

出典:中小企業庁|経営力向上支援・経営力向上計画の申請等について

(3)2026年は「人手不足への対応」と「生産性向上」を一緒に考える

2026年版中小企業白書では、人手不足が深刻化する中で、中小企業が「稼ぐ力」を高めるには労働生産性の向上が重要とされています。価格転嫁、高付加価値化、AI・デジタル化、事業再編などを組み合わせ、付加価値額を増やしながら労働投入量を最適化する視点が示されています。

出典:中小企業庁・中小企業基盤整備機構|2026年版中小企業白書・小規模企業白書

従業員数の少ない会社ほど、「人を増やせないから何もできない」ではなく、現在の業務のどこを減らし、どこに人の時間を使うかを考えることが経営改善につながります。

背景|そもそも経営力向上計画とは?

経営力向上計画は、中小企業者や中堅企業が、自社の経営力を向上させるために策定する計画です。対象となる取組は設備投資だけではありません。中小企業庁は、人材育成、財務管理、コスト管理などのマネジメント改善も例示しています。

出典:中小企業庁|経営力向上支援

つまり、小規模事業者で大規模な設備投資を予定していなくても、「毎月の数字を早く把握できるようにする」「給与・請求・入金確認の手作業を減らす」「特定の従業員に集中している業務を標準化する」といった経営改善の考え方は参考になります。

ただし、計画の認定対象、提出先、利用する支援措置は業種や取組内容によって異なります。自社が対象になるか、どの支援措置が使えるかは、最新の手引きや担当省庁・経済産業局等で確認してください。

補助金とは別の制度です

経営力向上計画と補助金は同じものではありません。計画の認定そのものが補助金の交付決定を意味するわけではなく、税制・金融支援・補助金等にはそれぞれ別の要件や審査があります。「認定を取れば必ず得をする」と考えず、自社が利用したい支援措置の要件を個別に確認しましょう。

設備投資をするなら「買う前」の確認が大切

例えば機械、設備、ソフトウェア等の導入を検討している場合、見積書を取った段階で、対象設備になり得るか、証明書や確認書が必要か、いつまでに何を申請するのかを整理しておくと安全です。税制の適用可否は会社の規模や申告状況、設備内容等によって変わるため、具体的な判断は税理士等への確認をおすすめします。

今すぐできる対策|経営改善チェックリスト10項目

経営力向上計画を作るかどうかを決める前に、まず次の10項目を確認してみましょう。全部に答えられなくても問題ありません。「分からない項目」が、そのまま整理すべき経営課題になることがあります。

·       □ 直近12か月の売上高・粗利益・営業利益の推移を把握している

·       □ 商品・サービス別に、どこで利益が出ているか概ね分かる

·       □ 毎月繰り返している手作業を3つ以上挙げられる

·       □ 社長や特定の従業員しかできない業務を把握している

·       □ 請求・入金・記帳・給与計算に毎月何時間かかっているか分かる

·       □ 設備の故障・停止・修理によるロスを記録している

·       □ 新しい設備やシステムを導入した場合の削減時間を試算している

·       □ 投資額だけでなく、導入後3年程度の費用も見積もっている

·       □ 利用したい税制・金融支援について、設備取得前に要件を確認している

·       □ 改善後に確認するKPI(時間、粗利率、処理件数、残業時間等)を決めている

具体例|従業員6名の会社で「経理の月末集中」を改善する場合

例えば、従業員6名の会社で、月末から翌月10日にかけて請求書発行、入金確認、記帳、給与計算が集中し、担当者が毎月残業しているとします。この場合、最初から「会計ソフトを買う」と決めるのではなく、現在の作業を分解します。

請求書作成10時間、入金照合6時間、領収書整理8時間、会計入力12時間、給与集計8時間などと見える化すると、どこから改善するべきか判断しやすくなります。会計データ取込、請求書の電子化、給与データ連携、外注など複数の選択肢を比較し、「月44時間を25時間まで減らす」といった目標を置くことができます。

このように、投資内容より先に現状と目標を数字で整理することが、経営力向上計画を考える際にも、日常の経営改善にも役立ちます。

よくある失敗と回避策

失敗1|「使える税制があるから設備を買う」

節税効果があるとしても、不要な設備を買えば現金は減ります。まず「その投資で売上・粗利益・作業時間・品質のどれが改善するのか」を確認しましょう。税制は投資判断を補助するもので、投資目的そのものではありません。

失敗2|設備を先に取得してから制度を調べる

支援措置によっては事前の証明・確認や計画認定が重要です。中小企業庁も、経営力向上設備等を取得する計画について、証明書・確認書に関する手続きを設備取得前に行うよう案内しています。見積・稟議の段階で制度確認を始めましょう。

出典:中小企業庁|経営力向上支援・申請等について

失敗3|計画を作って終わる

計画書を提出することがゴールになると、実際の経営改善につながりません。導入後は「月間作業時間が何時間減ったか」「粗利率がどう変わったか」「処理件数が増えたか」など、事前に決めた数字で効果を確認します。

失敗4|補助金・税制・融資を全部同じものとして考える

補助金は原則として対象経費の一部を補助する仕組み、税制は一定の税務上の措置、融資は返済が必要な資金調達です。経営力向上計画の認定と、それぞれの制度の利用可否は分けて確認してください。

失敗5|社内の数字が整理されていないまま申請を始める

計画を作るには、売上、利益、人員、設備、業務時間などの現状把握が必要です。試算表が何か月も遅れている、部門別の採算が分からない、給与・勤怠の情報がバラバラという場合は、先に日常のバックオフィスを整える方が結果的に近道になることがあります。

具体的な進め方|STEP1~5

STEP1|直近1年の数字と業務を見える化する

まず売上高、粗利益、営業利益、人件費、外注費などを月別に確認します。同時に、請求、記帳、給与、受発注、在庫管理などにかかる時間も整理します。精密な分析でなくても、改善前の基準値が分かれば十分です。

STEP2|改善したい課題を1~3個に絞る

「人手不足」「利益率低下」だけでは広すぎます。「見積作成に時間がかかる」「入力作業が二重になっている」「設備停止が月○時間ある」など、現場で改善できる単位まで具体化します。

STEP3|改善策と投資額を比較する

設備購入、クラウドサービス、業務フロー変更、外注、人材育成などを比較します。初期費用だけでなく、保守費、利用料、教育時間、移行コストも含めて検討します。

STEP4|経営力向上計画と利用したい支援措置を確認する

経営力向上計画の最新の手引き、事業分野、提出先を確認します。設備投資で税制措置等を検討する場合は、証明書・確認書、計画認定、設備取得の順序を必ず確認してください。税務上の適用判断は税理士、制度手続きは担当省庁・経済産業局等へ確認するのが安全です。

出典:中小企業庁|経営力向上計画策定の手引き・税制措置/金融支援活用の手引き

STEP5|実行後に数字で振り返る

「導入した」で終わらず、3か月後、6か月後などに改善効果を確認します。削減時間、残業時間、処理件数、粗利率、売上など、会社に合った指標を2~3個に絞ると続けやすくなります。

外注・相談する判断基準|まず「数字と業務の整理」からでもよい

経営力向上計画は、自社だけで検討することもできます。ただ、「どの数字を見ればよいか分からない」「試算表が遅れていて現状を説明できない」「設備投資と補助金・税制をどう整理すればよいか分からない」という場合は、早めに相談先を作っておくと進めやすくなります。

ぴくさぽでは、経営力向上計画の認定や税制適用を保証するのではなく、日常の記帳、給与、社会保険・労働保険、バックオフィス支援などを通じて、経営改善を考える前提となる情報整理をお手伝いします。何を聞けばよいか分からない段階でも、現在の困りごとを言葉にするところから始められます。

税務判断が必要な場合は税理士、法律・登記等の専門判断が必要な場合はそれぞれの専門家、公的制度の詳細は担当行政機関へ確認するなど、内容に応じて適切な相談先を使い分けることが大切です。

内部リンク1|「記帳代行とは?」を読む理由

経営改善の第一歩は、会社の数字をタイムリーに把握できる状態を作ることです。記帳が遅れていて現状が分からない場合は、まず記帳業務の整理方法を確認すると、計画づくりの土台を作りやすくなります。

内部リンク2|「バックオフィス代行とは?」を読む理由

経営力向上は設備投資だけではありません。経理・給与・労務などの定型業務を整理・外注し、社内の時間を営業や顧客対応へ振り向ける方法もあります。

内部リンク3|「補助金・助成金申請サポート完全ガイド」を読む理由

経営力向上計画と補助金は別制度です。補助金を検討する場合は、対象経費、申請時期、審査、交付決定前の発注可否など、その補助金固有のルールを別途確認する必要があります。

よくある質問(FAQ)

Q1.経営力向上計画を作れば、必ず税金が安くなりますか?

いいえ。認定を受けたことだけで自動的に税負担が減るわけではありません。税制措置には対象者、対象設備、取得時期、手続きなど個別の要件があります。具体的な適用可否は税理士等へ確認してください。

Q2.設備を購入してから申請しても大丈夫ですか?

利用する支援措置によって手続きの順序が重要です。中小企業庁は、経営力向上設備等を取得する計画の場合、工業会等の証明書または経済産業大臣の確認書に関する手続きを設備取得前に行う必要があると案内しています。購入・取得前の確認をおすすめします。

出典:中小企業庁|経営力向上支援・申請等について

Q3.小さな会社でも検討できますか?

制度上の対象要件を満たす必要はありますが、経営力向上の考え方そのものは小規模事業者にも有効です。従業員が少ない会社ほど、一人の作業時間や属人化の影響が大きいため、まず現状の数字と業務時間を整理することをおすすめします。

Q4.補助金の申請と同じですか?

同じではありません。経営力向上計画の認定、補助金の採択、税制措置の適用は、それぞれ別の制度・要件です。利用したい制度ごとに最新の公募要領や手引きを確認してください。

Q5.何から相談すればよいか分かりません

「毎月の経理に時間がかかる」「設備が古い」「利益が残らない」「人を増やせない」といった困りごとからで構いません。最初から制度名を決める必要はありません。まず現状を整理し、必要な支援制度や専門家を後から選ぶ方が自然です。

まとめ|経営力向上計画は「制度探し」より先に、自社の課題を整理する

経営力向上計画は、人材育成、財務管理、コスト管理、設備投資などを通じて、自社の経営力を高める取組を計画として整理する制度です。認定事業者には税制・金融面等の支援措置がありますが、支援措置ごとに対象要件や手続きが異なります。

大切なのは、「何か得する制度はないか」から始めるのではなく、「今の会社で時間や利益を失っている場所はどこか」を見つけることです。売上・粗利・作業時間・人員配置を整理し、改善したい課題を1~3個に絞るだけでも、次に取るべき行動が見えやすくなります。

ぴくさぽは、神戸・尼崎を中心とした阪神地域で、記帳、給与、社会保険・労働保険など中小企業の身近な実務を支援しています。経営改善について「何から整理すればよいか分からない」という段階でも、まず現在の数字や業務の状況を整理するところからご相談いただけます。専門的な税務判断や制度手続きが必要な場合は、内容に応じて専門家や公的窓口への確認をおすすめします。

協同組合阪神商工共済会
協同組合阪神商工共済会
創業70年の実績がある協同組合です。 近年重要さが増しているスタートアップ支援、バックオフィス業務の整備などをサポートしています。 給料計算、会計データ入力などの経理部門はもちろん、人を雇用した際の社会保険・労働保険手続き、さらには販売促進や設備投資の際の補助金申請サポートまで幅広い範囲知見をもとに執筆いたします。