事業承継は何から始める?後継者未定でもできる「現状整理」と相談先の見つけ方

目次[非表示]
- 1.(1)いきなり「誰に継がせるか」だけを決める
- 2.(2)税金の話だけで事業承継を考える
- 3.(3)「相談するとM&Aを勧められそう」と考えて何もしない
- 4.(4)身近な相談先だけで専門判断まで完結させようとする
- 5.STEP1|経営者自身の希望を言葉にする
- 6.STEP2|会社の数字と重要情報を集める
- 7.STEP3|「社長に依存している仕事」を見える化する
- 8.STEP4|相談内容を分野別に仕分ける
- 9.STEP5|公的支援機関や専門家へつなぐ
- 10.Q1.後継者が全く決まっていなくても相談できますか?
- 11.Q2.ぴくさぽに相談すれば事業承継の手続きを全部してもらえますか?
- 12.Q3.最初の相談時に何を準備すればよいですか?
- 13.Q4.親族が継がない場合は廃業しかありませんか?
- 14.Q5.兵庫県で専門的な相談をしたい場合はどこがありますか?
この記事は、「そろそろ事業承継を考えた方がよい気はするが、何から始めればよいか分からない」「後継者も決まっておらず、いきなり専門家へ相談するほど具体的ではない」という中小企業・小規模事業者の経営者向けです。事業承継は、最初から株式評価や税金、M&Aの契約まで自社だけで進める必要はありません。まずは会社の数字・人・取引・経営者に依存している仕事を整理し、どの分野を誰に相談すべきかを見えるようにすることが第一歩です。
この記事では、ぴくさぽが事業承継の税務・法務・M&A実務を単独で代行するという前提ではなく、日常の記帳や経営管理に近い立場から「最初に整理しておくこと」と「専門的な相談につなぐタイミング」を分かりやすく解説します。専門判断が必要な場合は、税理士・弁護士・司法書士・社会保険労務士や、国が設置する事業承継・引継ぎ支援センターなどの活用を検討します。
事業承継・引継ぎ支援センターは全国47都道府県に設置された公的相談窓口で、親族内承継、従業員承継、第三者承継(M&A)など事業承継全般の相談に対応しています。兵庫県のセンターは神戸商工会議所会館内に設置され、商工団体や金融機関等と「オール兵庫」で連携して支援しています。
出典:中小機構|事業承継・引継ぎ支援センター
結論|事業承継を考え始めたら、まず押さえたい3つのポイント
1.後継者が未定でも「会社の現状整理」は始められます。決算書、借入、株主、主要取引先、従業員、許認可、経営者しか分からない業務などを一度一覧にするだけでも、承継の課題が見えてきます。
2.最初から承継方法を決め切る必要はありません。親族への承継、役員・従業員への承継、第三者への承継という選択肢があります。どの方法が適するかは会社ごとに異なるため、候補と課題を整理したうえで専門機関へ相談します。
3.ぴくさぽの役割は「最初の整理と日常の経営基盤づくり」です。税務、法務、登記、M&Aなど専門判断が必要な部分まで無理に自社だけで抱えず、内容に応じて専門家や公的支援機関につなぐことが大切です。
なぜ「事業承継=すぐ専門家に依頼」ではないのか
事業承継という言葉から、株式の贈与、相続税、M&A契約など難しい手続きを想像する方は少なくありません。しかし、その前に確認しておくべきことがあります。たとえば「会社は何で利益を出しているのか」「誰が主要顧客との関係を持っているのか」「社長しか判断できない仕事は何か」「会社と社長個人の資産や借入がどのように関係しているか」といった経営の土台です。
これらは、承継方法を決める前でも整理できます。むしろ現状が見えていないまま「息子に継がせる」「M&Aをする」と先に結論を決めると、後から株式、借入、保証、許認可、人材など別の課題が出てくることがあります。最初は完璧な事業承継計画を作るのではなく、「分かっていること・分からないこと」を一覧にするところからで十分です。
中小企業庁・中小機構が案内する事業承継・引継ぎ支援センターも、「何から始めたらいいのか分からない」といった段階を含め、事業承継に関する相談に対応しています。親族内・従業員・第三者承継の別を問わず、相談内容に応じて事業承継計画の策定支援、専門家派遣、マッチング支援等につながる場合があります。
出典:中小企業庁|事業承継・引継ぎ支援センターについて
今すぐできる|事業承継の「現状整理」チェックリスト10項目
□ 直近3期程度の売上・利益・現預金・借入の推移を確認できる
□ 会社の株主と持株数を確認できる
□ 社長個人名義で事業に使っている土地・建物・車両・設備等がないか確認した
□ 主要顧客・仕入先と、誰が日常的に関係を持っているか整理した
□ 社長しかできない判断・見積り・営業・人脈をリスト化した
□ ベテラン従業員しか分からない仕事や技術を確認した
□ 許認可・資格・重要契約を一覧にした
□ 親族・役員・従業員の中に将来の後継候補がいるか整理した
□ 「何歳ごろまで経営したいか」という経営者自身の希望を考えた
□ 税務・法務・登記・M&Aなど、専門家に確認したい項目を分けて書き出した
全部にチェックが付かなくても問題ありません。「分からない」という項目こそ、次に確認するテーマです。ぴくさぽのような日常の経営支援窓口へ相談する場合も、この一覧があると、どこまで日常業務の整理で対応でき、どこから専門家へ確認すべきかを切り分けやすくなります。
よくある失敗と回避策
(1)いきなり「誰に継がせるか」だけを決める
後継者候補がいても、本人の意思、経営経験、株式や事業用資産の扱い、借入・保証、従業員との関係など確認事項があります。まず会社の現状と課題を整理し、その後に承継方法を比較する方が進めやすくなります。
(2)税金の話だけで事業承継を考える
事業承継には税務が関係することがありますが、目的は事業を次の世代へ円滑につなぐことです。税制の利用可否や株式評価等は税理士に確認しつつ、顧客・従業員・資金繰り・経営権など経営面も一緒に整理します。
(3)「相談するとM&Aを勧められそう」と考えて何もしない
公的な事業承継・引継ぎ支援センターは、第三者承継だけでなく親族内承継や従業員承継も相談対象です。後継者が未定であれば、複数の選択肢を残した状態で相談することもできます。
出典:中小機構|事業承継・引継ぎ支援センター
(4)身近な相談先だけで専門判断まで完結させようとする
身近な経営支援者は、会社の数字や日常業務を整理する入口として役立ちます。一方で、税務申告・税務判断、法律問題、登記、M&A契約などは、それぞれ専門資格や高度な実務経験が必要です。「最初の整理」と「専門判断」を分け、必要なところで適切な専門家につなぐことが安全です。
具体的な進め方|無理なく始める5ステップ
STEP1|経営者自身の希望を言葉にする
「何歳くらいまで経営したいか」「家族に継いでほしいのか」「従業員に任せる可能性はあるか」「会社や屋号を残したいか」など、現時点の希望を書き出します。後で変わっても構いません。最初の方向感を持つことが大切です。
STEP2|会社の数字と重要情報を集める
直近の決算書、借入一覧、株主構成、従業員数、主要取引先、固定資産、許認可などを集めます。ここは記帳やバックオフィスを日頃から整えておくことが大きな助けになります。数字が整理されていれば、専門家へ相談するときも会社の現状を伝えやすくなります。
STEP3|「社長に依存している仕事」を見える化する
営業、値決め、見積り、採用、銀行対応、仕入先との交渉など、社長が不在になると止まりそうな仕事を書き出します。事業承継は代表者名を変えるだけではなく、こうした判断や関係性を引き継ぐ作業でもあります。
STEP4|相談内容を分野別に仕分ける
たとえば、株式・贈与・相続などの税務は税理士、契約や法的問題は弁護士、会社・不動産登記は司法書士、人事労務は社会保険労務士、承継方法全般や第三者承継については事業承継・引継ぎ支援センター等が相談先の候補になります。実際の相談先は案件ごとに異なるため、まず「何が分からないか」を整理することが重要です。
STEP5|公的支援機関や専門家へつなぐ
兵庫県事業承継・引継ぎ支援センターは、神戸市中央区の神戸商工会議所会館内にあり、親族内承継から第三者承継まで、公正・中立の立場で支援すると案内しています。後継者が決まっていない場合や、どの承継方法がよいか迷う場合の相談先として知っておくと安心です。
出典:中小機構|兵庫県 事業承継・引継ぎ支援センター
外注・相談する判断基準|ぴくさぽで整理できること、専門家に確認すること
事業承継を考え始めたとき、すべてを一度に専門家へ依頼する必要はありません。まず「会社の数字が整理できていない」「借入や固定資産がすぐ分からない」「社長しか分からない事務が多い」という場合は、日常の経理・給与・バックオフィスを整えることが承継準備につながります。
ぴくさぽは、神戸・尼崎を中心に70年以上、中小事業者の記帳代行・給与計算・社会保険手続きなどを支援し、税理士・弁護士・社労士・司法書士等との連携体制を案内しています。したがって、事業承継そのものの専門判断を単独で行うのではなく、「何が整理できていて、何を専門家へ確認すべきか」を考える最初の窓口としてご相談いただく形が現実的です。
出典:ぴくさぽ|選ばれる理由
たとえば「後継者はまだ決まっていないが、5年後くらいを目安に考えたい」という段階なら、まず会計資料や借入、従業員、日常業務の状況を確認します。そのうえで株式・相続・贈与など税務判断が必要なら税理士へ、登記なら司法書士へ、承継方法やM&Aの検討が必要なら公的支援機関等へ相談する、という順番が考えられます。
あわせて読みたい記事は、①「記帳代行とは?」=会社の数字を整理するため、②「バックオフィス代行とは?」=社長や特定社員への事務の属人化を減らすため、③「経営セーフティ共済と小規模企業共済の違い」=経営者自身の将来資金を考えるきっかけとして活用できます。
具体例|「後継者未定」の会社なら、ここまで整理できれば十分
たとえば、社長65歳、従業員8名、後継者は未定という会社を考えてみます。社長は営業と銀行対応を担当し、経理はベテラン社員、現場は工場長が中心です。この段階で「誰に会社を継がせるか」を決められなくても、直近3期の決算書、借入、株主、主要取引先、従業員の役割を一覧にすることはできます。
整理してみると、「売上の半分は社長自身の営業先」「見積価格の決め方を社長しか知らない」「銀行借入に経営者保証がある」「工場長なら現場は任せられそう」といった課題が見えてくるかもしれません。ここまで分かれば、次の相談が具体的になります。税務面を税理士へ確認するのか、経営者保証について金融機関等へ確認するのか、従業員承継の可能性を公的支援機関へ相談するのか、優先順位を付けられます。
このように、初期段階で必要なのは「事業承継の答えを出すこと」ではなく、「会社の現状を説明できる状態にすること」です。これは普段の記帳や経営資料の整備、業務の見える化ともつながります。専門家に相談する前の準備が整っていれば、相談時間を会社固有の課題に使いやすくなります。
よくある質問
Q1.後継者が全く決まっていなくても相談できますか?
はい。少なくとも公的な事業承継・引継ぎ支援センターは、親族内・従業員・第三者承継など幅広い相談に対応しています。「何から始めればよいか分からない」という段階でも相談対象です。ぴくさぽでは、専門判断そのものではなく、その前段階となる会社の現状整理について一緒に確認できます。
Q2.ぴくさぽに相談すれば事業承継の手続きを全部してもらえますか?
いいえ。事業承継には税務、法務、登記、M&Aなど専門家による判断・手続きが必要になる場合があります。ぴくさぽでは日常の会計・給与・労務等の情報整理や相談の入口を担い、専門的な対応が必要な場合は内容に応じて専門家や公的支援機関への相談を検討します。
Q3.最初の相談時に何を準備すればよいですか?
直近の決算書、借入の状況、株主構成、従業員数、主要取引先、後継候補の有無などが分かると整理しやすくなります。ただし、全部そろっていなくても構いません。「何が分からないか」を確認するところから始められます。
Q4.親族が継がない場合は廃業しかありませんか?
廃業以外にも、役員・従業員への承継や第三者への承継という選択肢があります。どの方法が適するかは会社の状況によるため、早い段階で複数の選択肢を確認しておくことが大切です。
Q5.兵庫県で専門的な相談をしたい場合はどこがありますか?
国が設置する兵庫県事業承継・引継ぎ支援センターがあります。中小機構の案内では、神戸市中央区港島中町6-1・神戸商工会議所会館8階に設置され、親族内承継から第三者承継まで支援しています。最新の受付方法や相談内容は公式案内で確認してください。
出典:中小機構|兵庫県 事業承継・引継ぎ支援センター
まとめ|「事業承継を任せる」前に、まず会社を整理する
事業承継を考え始めたとき、最初から難しい税制やM&Aの知識を身につける必要はありません。まず、会社の数字、借入、株主、人材、主要取引先、許認可、社長に依存している仕事を見える化することから始めます。
その結果、「税務を確認したい」「登記が必要」「後継者がいない」「第三者承継も考えたい」といった課題が見えてきたら、税理士・司法書士・弁護士等の専門家や事業承継・引継ぎ支援センターなど、適切な相談先につなげていきます。
「まだ具体的ではないので、専門家に何を聞けばよいか分からない」という段階でも構いません。ぴくさぽでは、日々の記帳・給与・社会保険・労働保険など経営の土台に近いところから、現在の会社の状況を整理するお手伝いをしています。事業承継について専門的な判断が必要になった場合は、内容に応じた専門家・公的支援機関への相談も含め、次に何を確認すべきかを一緒に整理していきます。

