お役立ちコラム

資金繰り表の作り方|中小企業が3か月先の現預金を見える化する5ステップ

目次[非表示]

  1. 1.(1)利益ではなく「実際にお金が動く日」を見る
  2. 2.(2)最初は3か月先まででよい。慣れたら6~12か月へ広げる
  3. 3.(3)資金不足が見えてからではなく、見えた時点で相談する
  4. 4.資金繰り表の基本項目
  5. 5.具体例|黒字なのに11月の現金が減る会社
  6. 6.失敗1|通帳残高だけで判断する
  7. 7.失敗2|売上=入金として入力する
  8. 8.失敗3|借入返済の元本を忘れる
  9. 9.失敗4|納税・賞与・設備投資など臨時支出を入れない
  10. 10.失敗5|資金不足の直前まで相談しない
  11. 11.STEP1|月初の現預金を確定する
  12. 12.STEP2|入金予定を月別に並べる
  13. 13.STEP3|支払予定を「固定・変動・臨時」に分ける
  14. 14.STEP4|月末残高を計算し、最低ラインを決める
  15. 15.STEP5|毎月実績に置き換えて更新する
  16. 16.内部リンク1|「記帳代行とは?」を読む理由
  17. 17.内部リンク2|「バックオフィス代行とは?」を読む理由
  18. 18.内部リンク3|「開業・会社設立でやることは?」を読む理由
  19. 19.Q1.資金繰り表と試算表は何が違いますか?
  20. 20.Q2.何か月先まで作ればよいですか?
  21. 21.Q3.赤字でなければ資金繰り表は不要ですか?
  22. 22.Q4.資金が足りなくなりそうなら、すぐ借入を増やすべきですか?
  23. 23.Q5.数字が苦手でも作れますか?

「売上は上がっているのに、なぜか預金が増えない」「来月の給与や税金は払えるが、3か月後は分からない」。こうした不安がある中小企業・個人事業主に、最初に作ってほしいのが資金繰り表です。

決算書や試算表は経営に欠かせませんが、利益と現金の動きは同じではありません。売上を計上しても入金が翌月・翌々月なら、その間の仕入、人件費、家賃、借入返済は先に支払う必要があります。中小企業基盤整備機構も、企業の事業継続には資金の流れを理解することが重要で、黒字でも資金の流れが止まれば会社の存続に影響すると説明しています。

出典:中小企業基盤整備機構|経営基盤を強くする「資金管理・資金繰り」講座

難しい財務モデルを最初から作る必要はありません。まずは「月初の現預金+今月入るお金-今月出るお金=月末の現預金」という考え方で、3か月先まで見える化するだけでも経営判断は大きく変わります。

結論|資金繰り表で押さえたい3つのポイント

(1)利益ではなく「実際にお金が動く日」を見る

資金繰り表では、売上日ではなく入金予定月、仕入日ではなく支払予定月を基本に考えます。例えば9月に100万円を売り上げても入金が11月なら、10月の資金には入りません。一方、9月仕入分を10月に支払うなら、10月は支出だけが先行します。

(2)最初は3か月先まででよい。慣れたら6~12か月へ広げる

日本政策金融公庫も建設業向けの創業支援情報で、資金繰り表を作成して3か月後くらいまでの現預金残高を予測し、資金ショートの懸念があれば早めに資金調達などの対策を行うことを案内しています。業種を問わず、短期の資金見通しを持つ考え方は実務で有効です。

出典:日本政策金融公庫|建設業の創業のポイント「資金繰りに注意」

(3)資金不足が見えてからではなく、見えた時点で相談する

資金繰り改善では早期着手が重要です。中小企業庁は2026年3月、早期経営改善計画策定支援(Vアップ事業)等について、相談の早期化、予兆管理、伴走支援の強化を重視する見直しを公表しています。また2026年には、月次で財務・資金繰り状況を把握し、経営変化の予兆を早期に捉えることを後押しする保証制度も開始されています。

出典:中小企業庁|早期経営改善計画策定支援(Vアップ事業)等の手引き・FAQ改定

出典:中小企業庁|モニタリング強化型特別保証制度

背景|黒字でも資金が足りなくなるのはなぜ?

会計上の利益は「売上-費用」で計算しますが、実際の入金・支払時期とはずれることがあります。また、借入金の元本返済は現金が出ていく一方、通常は損益計算書の費用にはなりません。設備購入、税金、賞与なども月によって大きく資金を動かします。

そのため「今期は黒字だから大丈夫」と預金残高だけを眺めていると、納税月や賞与月、仕入が増える繁忙期に急に資金が減ることがあります。資金繰り表は、こうした時間差を月ごとに並べる道具です。

資金繰り表の基本項目

小規模事業者なら、①月初現預金、②売上代金等の入金、③仕入・外注費、④給与・社会保険、⑤家賃・経費、⑥税金、⑦設備代金、⑧借入・返済、⑨月末現預金、の9項目程度から始められます。会社に合わせて項目を増やしてください。

今すぐできる対策|資金繰りチェックリスト10項目

·       □ 銀行口座・手元現金の現在残高を合計した

·       □ 今後3か月の売掛金の入金予定日を確認した

·       □ 今後3か月の買掛金・外注費の支払予定日を確認した

·       □ 給与・社会保険料の支払額と日付を入れた

·       □ 家賃・リース・サブスクなど毎月の固定支出を入れた

·       □ 借入金の元本返済と利息を分けて確認した

·       □ 消費税・法人税・所得税・住民税等の納税予定月を確認した

·       □ 賞与・設備投資・保険料など臨時支出を入れた

·       □ 売上予測を「希望」ではなく受注・前年実績等をもとに置いた

·       □ 月末残高が大きく減る月を見つけ、対策を考えた

具体例|黒字なのに11月の現金が減る会社

例えば10月月初の現預金が500万円、10月の入金300万円、支出280万円なら月末は520万円です。一見問題ありません。しかし11月は入金250万円に対して、通常支出280万円に加え、消費税等の納付100万円と設備代50万円があるとすると、月末は340万円まで下がります。12月に賞与や借入返済が重なれば、さらに減る可能性があります。

このように、1か月だけでなく3か月を横に並べると「11月に資金が減るから、設備購入時期を再検討する」「売掛金の回収条件を確認する」「早めに金融機関へ相談する」といった行動を、資金不足になる前に選べます。

よくある失敗と回避策

失敗1|通帳残高だけで判断する

今日の残高が十分でも、翌月に納税や賞与があれば状況は変わります。残高ではなく、将来の入金・支払予定まで並べます。

失敗2|売上=入金として入力する

掛取引では売上月と入金月が違います。請求書や取引条件から実際の入金予定月に置き換えましょう。

失敗3|借入返済の元本を忘れる

元本返済は損益計算書の費用ではありませんが、現金は減ります。返済予定表を確認し、毎月の元本と利息を資金繰りに反映します。

失敗4|納税・賞与・設備投資など臨時支出を入れない

毎月の固定費だけでは資金繰りは読めません。年間カレンダーを見ながら、大きな支出月を先に入れておくことが大切です。

失敗5|資金不足の直前まで相談しない

金融機関への相談は、資金が尽きる直前より、試算表や資金繰り表を用意して早めに行う方が選択肢を検討しやすくなります。中小企業庁も経営改善支援で早期着手・予兆管理を重視しています。

出典:中小企業庁|2026年3月26日 早期経営改善計画策定支援等の見直し

具体的な進め方|STEP1~5

STEP1|月初の現預金を確定する

事業用の普通預金、当座預金、現金など、実際に支払いに使える資金を確認します。定期預金等はすぐ使えるかも分けて考えると実態が見えます。

STEP2|入金予定を月別に並べる

売掛金、現金売上、その他入金を、実際の回収条件に沿って入力します。売上予測は、確定受注、見込み、前年実績など根拠を分けると精度が上がります。

STEP3|支払予定を「固定・変動・臨時」に分ける

給与、家賃などの固定支出、仕入・外注など売上に連動する支出、税金・賞与・設備など臨時支出に分けると、どこを調整できるか判断しやすくなります。

STEP4|月末残高を計算し、最低ラインを決める

月初残高+入金-支出で月末残高を出します。そのうえで「この残高を下回る前に相談する」という社内の目安を決めます。必要額は会社の固定費、支払条件、季節変動などで異なるため、一律の正解はありません。

STEP5|毎月実績に置き換えて更新する

予測は作って終わりではありません。月末に実績へ置き換え、翌月以降の予測を修正します。予測と実績の差が大きい項目を確認すると、売上予測や支払管理の精度も上がります。

外注・相談する判断基準|数字が揃わない段階でも相談してよい

資金繰り表は経営者自身でも作れます。ただし「売掛金残高が合わない」「記帳が数か月遅れている」「借入返済予定が整理できていない」「税金がいつ、いくら発生するか分からない」という場合は、先に経理データを整えることが必要です。

ぴくさぽでは、記帳代行やバックオフィス支援を通じて、資金繰り表の土台になる数字の整理をお手伝いできます。融資の可否を判断したり、税額を確定したりする立場ではありませんが、何を準備して金融機関や税理士へ相談すればよいか分からない段階から、情報を整理することはできます。

内部リンク1|「記帳代行とは?」を読む理由

資金繰り表の精度は、売掛金・買掛金・経費・借入残高など日々の記帳精度に左右されます。記帳が遅れている場合は、まず月次経理を早くする方法を確認しましょう。

内部リンク2|「バックオフィス代行とは?」を読む理由

請求・入金確認・給与・経理が社長一人に集中していると、資金繰りを考える時間そのものが取れません。定型業務を整理する考え方が参考になります。

内部リンク3|「開業・会社設立でやることは?」を読む理由

開業直後は売上が安定する前に家賃、仕入、広告、人件費などが先行しやすいため、開業時点から資金計画を作ることが重要です。

よくある質問(FAQ)

Q1.資金繰り表と試算表は何が違いますか?

試算表は一定期間の売上・費用や資産・負債などを会計ルールに沿って把握する資料です。資金繰り表は、実際の入金・支払時期をもとに将来の現預金残高を予測します。どちらか一方ではなく、両方を組み合わせると経営判断に役立ちます。

Q2.何か月先まで作ればよいですか?

初めてなら3か月先から始めるのがおすすめです。日本政策金融公庫も一部業種向け情報で3か月後程度までの現預金残高予測を例示しています。慣れたら納税・賞与・繁忙期まで見える6~12か月へ広げましょう。

出典:日本政策金融公庫|建設業の創業のポイント「資金繰りに注意」

Q3.赤字でなければ資金繰り表は不要ですか?

不要ではありません。黒字でも入金より支払いが先行すれば現金不足は起こり得ます。中小企業基盤整備機構も、黒字でも資金の流れが止まることが企業存続に影響すると説明しています。

出典:中小企業基盤整備機構|経営基盤を強くする「資金管理・資金繰り」講座

Q4.資金が足りなくなりそうなら、すぐ借入を増やすべきですか?

必ずしもそうとは限りません。売掛金回収、支払条件、不要支出、設備投資時期、在庫などを確認したうえで、必要なら金融機関へ早めに相談します。借入額・期間・返済可能性は個別事情によって異なります。

Q5.数字が苦手でも作れますか?

最初は細かな勘定科目に分けず、「入るお金」「通常出るお金」「臨時に出るお金」の3つからでも始められます。重要なのは完璧な表より、毎月更新できる表です。

まとめ|資金繰りは「足りなくなってから」ではなく3か月前から見る

資金繰り表の目的は、将来の現預金残高を完全に当てることではありません。「このままなら何月に資金が減るか」を早めに見つけ、対策を選べる時間を作ることです。まず月初残高、入金、通常支出、借入返済、納税・賞与等の臨時支出を並べ、3か月先まで確認してみてください。

ぴくさぽは、神戸・尼崎を中心とした阪神地域で、記帳、給与、社会保険・労働保険など中小企業の日常実務を支援しています。「資金繰り表を作りたいが元になる数字が整理できていない」「何を金融機関に持っていけばよいか分からない」という段階でも、まず現在の数字を整理するところからご相談いただけます。必要に応じて金融機関や税理士等の専門家への確認につなげます。

協同組合阪神商工共済会
協同組合阪神商工共済会
創業70年の実績がある協同組合です。 近年重要さが増しているスタートアップ支援、バックオフィス業務の整備などをサポートしています。 給料計算、会計データ入力などの経理部門はもちろん、人を雇用した際の社会保険・労働保険手続き、さらには販売促進や設備投資の際の補助金申請サポートまで幅広い範囲知見をもとに執筆いたします。