2026年度の最低賃金はいくら?全国の改定状況と中小企業が確認すべきこと【兵庫県は1,172円】

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この記事は、従業員・パート・アルバイトを雇用する全国の中小企業・個人事業主、特に神戸・尼崎など兵庫県内の事業者を対象にしています。最低賃金の金額だけでなく、「いつから変わるのか」「自社では誰を確認すべきか」を実務の順番で整理します。
2026年度も地域別最低賃金の引上げが予定されていますが、注意したいのは、最低賃金が全国一律の金額・日付で切り替わるわけではないことです。厚生労働省が2026年9月3日に取りまとめた答申では、47都道府県すべてで引上げが示され、全国加重平均は1,177円となる見込みです。一方、実際に適用される金額と発効日は都道府県ごとに異なります。
出典:厚生労働省|全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました(令和8年度最低賃金額答申)
前年の2025年度は発効日が10月から翌年3月まで大きく分散しました。2026年度も全国一斉ではなく、答申段階の集計では10月1日から12月2日まで順次発効する予定です。したがって、「毎年10月1日から変わる」と覚えるより、自社の事業場がある都道府県について、最新の金額と発効日を毎年確認することが重要です。
本記事では、全国の動向を押さえたうえで、ぴくさぽの主な支援地域である兵庫県の確定情報を具体例として解説します。月給制の確認方法、人件費への影響、給与ソフトの変更、支援制度まで、最低賃金改定に向けて実務で確認したいポイントをまとめました。
結論|2026年度の最低賃金で押さえるべき3つのポイント
1つ目は、最低賃金は都道府県ごとに金額だけでなく発効日も異なることです。2026年度の全国加重平均は答申ベースで1,177円ですが、この金額が全国の事業場に一律適用されるわけではありません。
2つ目は、兵庫県については、2026年10月1日から時間額1,172円へ改定されることが正式決定していることです。兵庫労働局は2026年9月1日に改正決定を公表し、官報公示を経て10月1日から発効すると案内しています。
出典:兵庫労働局|兵庫県最低賃金 時間額1,172円に改正決定 ~発効日は令和8年10月1日~
3つ目は、最低賃金改定を「時給だけ変更する作業」で終わらせないことです。月給者を含む対象者の確認、雇用条件、給与計算設定、従業員間の賃金バランス、年間人件費まで一緒に見直すことで、改定後の混乱を防ぎやすくなります。
背景|最低賃金はなぜ地域によって金額も発効日も違うのか
最低賃金には、都道府県ごとに定められる「地域別最低賃金」があります。厚生労働省の制度では、中央最低賃金審議会が改定額の目安を示し、その後、各都道府県の地方最低賃金審議会が地域の事情を踏まえて審議します。最終的には各都道府県労働局長が決定します。
出典:厚生労働省|最低賃金制度
このため、最低賃金の金額だけでなく、発効日も都道府県ごとに異なります。2025年度はその差が特に大きく、厚生労働省の全国一覧では10月に発効した地域がある一方、11月・12月、さらに2026年1月以降に発効した県もありました。兵庫県の2025年度改定は2025年10月4日発効でした。
2026年度は、厚生労働省が9月3日に公表した答申の取りまとめでは、47都道府県すべてで引上げが答申され、引上げ額は54円から65円、全国加重平均は1,177円となる見込みです。発効予定日は10月1日から12月2日までに分かれています。なお、答申段階の地域については、その後の手続きを経て正式決定となるため、記事や社内通知では「予定」と「決定済み」を分けて扱う必要があります。
兵庫県はすでに改正決定済みで、現在の1,116円から56円引き上げ、2026年10月1日から1,172円となります。前年の発効日が10月4日だったからといって、今年も同じ日とは限りません。毎年度、各労働局の最新情報を確認することが基本です。
また、兵庫県には地域別最低賃金とは別に、特定の産業に設定される「特定(産業別)最低賃金」もあります。地域別最低賃金と特定最低賃金の双方が適用される場合は、一般的に高い方を確認する必要があります。該当業種か判断しにくい場合は、兵庫労働局等の最新情報を確認してください。
出典:兵庫労働局|兵庫県の最低賃金(地域別最低賃金・特定最低賃金一覧)
今すぐできる対策|最低賃金改定チェックリスト
最低賃金の改定前には、次の10項目を確認しておくと実務が整理しやすくなります。
□ 自社の事業場がある都道府県ごとに、新しい最低賃金額を確認した
□ 新しい最低賃金の発効日を確認した
□ 「答申・予定」なのか「正式決定」なのかを確認した
□ パート・アルバイトを含む全従業員の賃金一覧を作成した
□ 月給制・日給制の従業員も時間額に換算して確認した
□ 最低賃金との比較に含める賃金・含めない賃金を確認した
□ 賃金変更が必要な従業員を抽出した
□ 雇用条件や給与ソフトの変更時期を確認した
□ 経験者・責任者との賃金差が不自然にならないか確認した
□ 月間・年間の人件費増加額と資金繰りへの影響を試算した
複数の都道府県に店舗・営業所・工場などがある場合は、「事業場名/所在地/現在額/改定後額/発効日」を一覧表にすると管理しやすくなります。本社が兵庫県にあっても、他県の事業場についてはその地域の最低賃金を確認することが必要です。
よくある失敗と回避策
失敗1|「最低賃金は全国一律で10月1日から」と思い込む
最低賃金の発効日は全国共通ではありません。前年の発効日をそのまま今年に当てはめるのも避けましょう。回避策は、毎年の改定時期に厚生労働省の全国動向と、各都道府県労働局の確定情報をセットで確認することです。
失敗2|時給制のアルバイトだけ確認する
最低賃金は、原則として正社員、契約社員、パート、アルバイトなど雇用形態の呼び方だけで対象が決まるものではありません。月給制や日給制でも、最低賃金と比較できる時間額へ換算して確認します。計算方法は賃金形態や手当の内容で変わるため、不明な場合は労働局や社会保険労務士等への確認をおすすめします。
失敗3|「総支給額が高いから大丈夫」と考える
最低賃金との比較では、支払っている賃金を何でも含められるわけではありません。厚生労働省の最低賃金制度では、精皆勤手当、通勤手当、家族手当、時間外・休日・深夜の割増賃金など、比較対象から除外されるものがあります。総支給額だけで判断せず、給与の内訳を確認してください。
出典:兵庫労働局|兵庫県の最低賃金(最低賃金に算入しない賃金)
失敗4|最低賃金の人だけ上げて賃金バランスを見ない
たとえば兵庫県で、新人の時給を1,116円から1,172円へ変更し、経験3年のスタッフが1,180円のままだと、差は8円になります。最低賃金を満たすことと、会社として納得感のある賃金体系を作ることは別の課題です。経験、責任、資格、採用競争力なども踏まえて全体のバランスを確認しましょう。
失敗5|助成金を見込んで先に設備を購入する
賃上げと設備投資を支援する制度として業務改善助成金がありますが、利用には要件があります。厚生労働省は2026年度分について9月1日から受付を開始し、申請期限を原則として「各都道府県の地域別最低賃金発効日の前日」または「11月30日」のいずれか早い日と案内しています。対象要件や実施時期を確認せず先に発注・契約等を進めると対象にならない場合があるため、必ず最新の交付要綱・申請マニュアルを確認してください。
具体的な進め方|最低賃金改定への5ステップ
STEP1|都道府県ごとの「金額・発効日・確定状況」を確認する
まず、厚生労働省の全国情報で全体の改定状況を把握し、自社の事業場について各都道府県労働局の情報を確認します。全国平均だけを給与設定に使わないことが重要です。兵庫県のように正式決定済みの地域は確定額と発効日で準備し、まだ答申段階なら最終決定も確認します。
STEP2|全従業員の賃金を一覧にする
時給・日給・月給、所定労働時間、各種手当などを一覧にします。最低賃金ギリギリの人だけでなく、改定後の金額に近い従業員まで確認すると、賃金バランスの検討がしやすくなります。
STEP3|時間額へ換算し、対象となる賃金を確認する
月給制だから最低賃金と無関係ということではありません。厚生労働省の案内に沿って、最低賃金の比較対象となる賃金を時間額に換算します。固定残業代や各種手当があるなど給与構成が複雑な場合は、自己判断だけで進めず専門家に確認すると安心です。
STEP4|賃金額と年間人件費を決める
兵庫県では56円の引上げです。仮に対象者が5人、それぞれ月80時間勤務なら、56円×80時間×5人=月22,400円、単純計算で年268,800円の増加です。実際の総人件費は勤務時間や保険加入状況等で変わりますが、「1時間あたりの差」だけでなく年間で把握すると経営判断がしやすくなります。
STEP5|雇用条件・給与ソフト・社内周知を整える
新しい賃金を決めたら、必要に応じて労働条件の整理、給与ソフトの単価変更、担当者への共有を行います。給与締日の途中で発効日を迎える場合は、どの日の労働から新しい最低賃金が適用されるのかを区分して管理できるようにしておきましょう。
外注・相談する判断基準|どこまで自社で対応する?
従業員が少なく給与体系が単純な会社では、自社で確認できる場合もあります。一方、月給・時給が混在している、各種手当が多い、複数地域に事業場がある、給与計算担当者が制度改正まで追い切れない、といった場合は外部支援を検討する余地があります。
判断の目安は、「一度だけ最低賃金を確認すれば終わるのか」「毎月の給与計算・勤怠・保険まで継続して管理する必要があるのか」です。後者であれば、制度改正のたびに経営者が一から確認するより、バックオフィス全体の流れを整えた方が負担を抑えやすくなります。
これから初めて人を雇う方は、関連記事「初めて従業員を雇うとき何をする?」を読むと、労働条件、労働保険、社会保険、給与計算まで採用前後の全体像を整理できます。
毎月の給与計算や勤怠管理そのものが負担になっている場合は、「バックオフィス代行とは?中小企業が今すぐ導入すべき理由と成功する外注化のポイント」も参考になります。最低賃金対応だけでなく、経理・労務をどこまで内製し、どこから外部へ任せるかを検討する材料になります。
また、賃上げと設備投資をあわせて考える場合は、「補助金・助成金申請サポート完全ガイド」も確認しておくとよいでしょう。ただし、助成金は制度ごとに対象・期限・実施順序が異なりますので、採択や支給を前提に投資判断をしないことが大切です。
ぴくさぽは、神戸・尼崎を中心に70年以上、中小企業・小規模事業者の記帳、給与計算、社会保険・労働保険などを支援してきました。専門的な税務・労務判断が必要な場合には、税理士・社会保険労務士等と連携します。「何を確認すればよいのか分からない」という段階から、現状を整理する相談窓口としてご利用いただけます。
よくある質問(FAQ)
Q1.最低賃金は全国一律で10月1日に変わりますか?
いいえ。地域別最低賃金は都道府県ごとに金額・発効日が異なります。2026年度は厚生労働省の答申取りまとめでは、10月1日から12月2日まで順次発効する予定です。自社の事業場がある都道府県の最新情報を確認してください。
Q2.兵庫県はいつから1,172円になりますか?
2026年10月1日からです。兵庫労働局は2026年9月1日に、現在の1,116円から1,172円へ改正することを正式決定し、官報公示を行ったと発表しています。
出典:兵庫労働局|兵庫県最低賃金 時間額1,172円に改正決定
Q3.正社員や月給制の従業員にも最低賃金は関係しますか?
一般的には、雇用形態が正社員・パート・アルバイトであることだけで最低賃金の対象外にはなりません。月給制の場合も、最低賃金との比較ができる時間額へ換算して確認します。具体的な計算は給与体系によって異なるため、不明な場合は労働局や専門家への確認をおすすめします。
Q4.前年の発効日をそのまま参考にしてもよいですか?
目安として見ることはできますが、今年の発効日として扱うのは避けましょう。兵庫県でも2025年度は10月4日、2026年度は10月1日と異なります。前年の給与ソフト設定をそのままコピーせず、毎年度、確定した発効日を確認してください。
まとめ|最低賃金は「金額・地域・発効日」の3点を確認
2026年度の地域別最低賃金は、47都道府県すべてで引上げが答申され、全国加重平均は1,177円となる見込みです。しかし、中小企業が実務で使うべき数字は全国平均ではなく、自社の事業場に適用される地域別最低賃金です。
確認するポイントは、「いくらになるか」「どの地域の最低賃金が適用されるか」「いつから発効するか」の3つです。兵庫県では2026年10月1日から時間額1,172円への改定が正式決定しています。
最低賃金への対応をきっかけに、給与計算、勤怠管理、従業員間の賃金バランス、年間人件費まで一度確認しておくと、その後の給与管理も進めやすくなります。
「自社の給与が最低賃金を上回っているか確認したい」「月給社員の換算方法が分からない」「賃上げ後の人件費まで整理したい」という段階でも構いません。ぴくさぽでは、神戸・尼崎を中心とする中小企業・小規模事業者の皆さまに、給与計算を含むバックオフィスの整備を支援しています。何を聞けばよいか分からない場合も、まず現在の給与体系を一緒に整理するところからご相談ください。
この記事について
本記事は2026年9月10日時点の厚生労働省、兵庫労働局等の公表情報をもとに、一般的な制度を分かりやすく説明したものです。最低賃金の確定状況や発効日は都道府県ごとに異なり、特定(産業別)最低賃金など個別の適用関係もあります。具体的な判断については、都道府県労働局または社会保険労務士等の専門家へご確認ください。

