2026年の年末調整は何が変わる?基礎控除・給与所得控除の引上げと中小企業が9月から準備すること

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この記事は、従業員1~20名程度の中小企業・個人事業主で、「2026年の年末調整は昨年と何が違うのか」「給与ソフトや申告書はいつから準備すればよいのか」と感じている方に向けた実務ガイドです。
2026年は、所得税の基礎控除や給与所得控除の最低保障額などが再び改正されます。しかも改正は原則として2026年12月1日施行で、2026年分の所得税に適用されるため、11月までの毎月の源泉徴収と12月の年末調整で取扱いが異なります。小規模事業者ほど、年末になってから慌てないよう、9~10月に給与ソフト・従業員への案内・回収書類を確認しておくことが大切です。
結論|2026年の年末調整で押さえる3つのポイント
1.2026年12月の年末調整から新しい基礎控除等を反映する
令和8年度税制改正により、所得税の基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正などが行われました。原則として2026年12月1日に施行され、2026年分以後の所得税に適用されます。国税庁は、2026年11月までの源泉徴収事務には変更が生じず、12月以後の源泉徴収事務・年末調整に変更が生じると案内しています。
出典:国税庁|令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について
2.給与所得控除の最低保障額は74万円へ
2026年分・2027年分の給与所得控除では、給与収入220万円までの最低保障額が74万円となります。給与収入が比較的少ないパート・アルバイトを含め、年末調整の所得見積額や扶養判定にも関係するため、前年の計算式をそのまま使わないことが重要です。
3.2026年分の年末調整資料は「前年の様式を流用しない」
国税庁は、令和8年度改正に伴い、基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・特定親族特別控除申告書・所得金額調整控除申告書の様式を前年分から変更しています。給与ソフトを利用している会社でも、最新版への更新状況と2026年分様式への対応を確認しましょう。
出典:国税庁|令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について
背景|2025年に続き、2026年も年末調整のルールが変わります
年末調整は、毎月の給与から源泉徴収した所得税の合計額と、その人が1年間に納めるべき所得税額との差額を精算する手続きです。通常は、勤務先へ扶養控除等申告書を提出している従業員が対象となり、給与収入2,000万円超など一定の場合は対象外です。
2025年分でも基礎控除・給与所得控除の見直しや特定親族特別控除の創設がありましたが、2026年は令和8年度税制改正によってさらに変更があります。したがって、「去年も改正対応したから今年は同じ」と考えるのは危険です。
特に小規模事業者では、給与計算を経営者自身や1人の事務担当者が担っていることが多く、年末調整だけ別担当にするのが難しいケースがあります。だからこそ、制度を細部まで暗記するより、①何が変わるか、②どの従業員に影響するか、③給与ソフトと書類が対応しているか、の3点を順番に確認する方が実務的です。
基礎控除はいくらになる?2026年分の考え方
2026年分の基礎控除は、本人の合計所得金額によって異なります。例えば、合計所得金額132万円以下では104万円、132万円超336万円以下では88万円、336万円超489万円以下では68万円、489万円超655万円以下では67万円、655万円超2,350万円以下では62万円となります。高所得者については別の控除額が設定されています。
ここで注意したいのは、「基礎控除が一律104万円になった」という理解ではないことです。本人の合計所得金額によって控除額が変わります。従業員から質問を受けた際も、一つの金額だけを伝えるのではなく、所得に応じて異なると説明する方が安全です。
今すぐできる対策|9~10月の年末調整チェックリスト
□ 利用中の給与計算ソフトが2026年分の年末調整に対応する予定か確認した
□ ソフトのアップデート時期と費用を確認した
□ 2026年分の扶養控除等申告書・基礎控除申告書等の様式を確認した
□ 従業員へ書類を配布・案内する時期を決めた
□ 中途入社者の前職分源泉徴収票の回収状況を確認した
□ 生命保険料・地震保険料等の控除証明書の提出方法を決めた
□ 扶養親族・配偶者等の所得見積額を前年のまま転記しないよう周知した
□ 年末調整対象者と対象外者を整理した
□ 12月給与の締日・支給日と年末調整の処理日程を確認した
□ 不明点を税理士等へ確認できる期限を社内で決めた
年末調整は12月に計算する作業ですが、実務の成否は9~11月の準備でほぼ決まります。特に証明書や前職の源泉徴収票が不足すると、担当者が何度も従業員へ連絡することになり、給与確定直前に作業が集中します。
よくある失敗と回避策
失敗1|2025年分の申告書をそのまま使う
2026年分は改正に伴い様式変更があります。前年ファイルをコピーして配布する運用は避け、国税庁の2026年分様式または対応済み給与ソフトから出力した様式を使用しましょう。
失敗2|11月までの毎月の源泉徴収額まで遡って計算し直す
今回の改正は原則2026年12月1日施行で、国税庁は2026年11月までの源泉徴収事務には変更が生じないと案内しています。毎月の源泉徴収と年末調整を混同しないようにします。
出典:国税庁|令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について
失敗3|従業員の扶養情報を前年から自動コピーして終える
扶養親族等の所得要件も改正対象です。家族の就職・退職・収入増減、大学生年代の子どものアルバイト収入など、前年と状況が変わっていないかを確認しましょう。個別の控除可否はケースによって異なるため、判断が難しい場合は税理士等への確認をおすすめします。
失敗4|給与ソフトの更新を12月まで放置する
給与ソフト会社によって年末調整対応版の提供時期や更新方法は異なります。クラウド型でも自動的にすべての設定が正しくなるとは限りません。従業員マスターや扶養情報、前年からの繰越データも確認しましょう。
具体的な進め方|STEP1~5
STEP1|給与ソフトと年末調整担当者を確認する
まず「誰が、どのソフトで、いつ処理するか」を決めます。経営者が自分で処理している場合は、通常業務と重なる12月に作業が集中しないよう、9月中に更新予定を確認しておくと安心です。
STEP2|従業員一覧を作り、対象者を整理する
正社員だけでなく、パート・アルバイト、中途入社者、休職者なども含めて一覧化します。年末調整の対象となるか、前職分の源泉徴収票が必要かなどを整理します。
STEP3|申告書と証明書を早めに案内する
紙で回収する場合は配布日と提出期限を決めます。電子化する場合は、従業員がスマートフォン等から入力できる仕組みや、控除証明書データの取込みに対応しているかを確認します。国税庁は年末調整手続の電子化を案内しており、2026年8月には令和8年分年調ソフトのプロトタイプも公開しています。
STEP4|改正後の控除額・所得要件を反映する
2026年分は基礎控除や給与所得控除等が変更されます。手計算や独自Excelを使っている場合は特に注意が必要です。給与ソフトを利用する場合も、2026年分対応版であることを確認してから本計算へ進みます。
STEP5|12月給与確定前に不足書類と例外ケースを確認する
住宅ローン控除の初年度、複数勤務先がある人、年の途中で入退社した人など、年末調整だけで完結しないケースがあります。税務判断が必要な場合は税理士等に確認し、従業員へ確定申告が必要となる可能性を早めに伝えます。
外注・相談する判断基準|「給与計算と年末調整を分けて考えない」
従業員が数名で、毎月の給与計算・勤怠・扶養情報が整理されている会社なら、自社で年末調整まで対応できるケースもあります。一方、毎月の給与計算自体が経営者の負担になっている、入退社が多い、パートごとに勤務条件が違う、扶養関係の質問が多い、といった会社は外部支援を検討する価値があります。
ぴくさぽでは、神戸・尼崎を中心に70年以上、中小事業者の給与計算、記帳、社会保険・労働保険などのバックオフィスを支援しています。税務判断が必要な事項は税理士等と連携し、日々の給与データを整えるところから年末の処理まで、事業者が迷いにくい形へ整理することを重視しています。
出典:協同組合阪神商工共済会|ぴくさぽ公式サイト|サービス・選ばれる理由
内部リンク候補①「バックオフィス代行」関連記事:毎月の給与・経理そのものが負担になっている事業者が、年末調整だけでなく年間を通した事務体制を見直すために読む記事です。
内部リンク候補②「初めて従業員を雇うとき」関連記事:採用直後の給与、社会保険・労働保険、必要書類を一緒に確認したい事業者向けです。
内部リンク候補③「2026年度最低賃金」関連記事:10月の最低賃金改定と年末調整準備を同時に進め、給与マスターを二度手間なく更新するために読む記事です。
よくある質問
Q1.2026年11月までの給与も新しい基礎控除で源泉徴収し直しますか?
原則として、2026年11月までの源泉徴収事務に変更はありません。改正は原則12月1日施行で、2026年12月以後の源泉徴収事務・年末調整に反映されます。
出典:国税庁|令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について
Q2.基礎控除は全員104万円になりますか?
いいえ。2026年分の基礎控除額は本人の合計所得金額によって異なります。104万円となるのは一定の所得区分です。
Q3.給与所得控除の最低保障額はいくらですか?
2026年分・2027年分は74万円です。ただし給与収入が220万円を超える場合は収入金額に応じた計算式になります。
Q4.国税庁の2026年分年末調整ページはもう完成していますか?
2026年9月19日時点で、国税庁の「年末調整がよくわかるページ」は令和8年分について10月頃公開予定と案内しています。一方、令和8年度税制改正の特設ページや年末調整電子化ページでは、すでに改正概要やプロトタイプ等が公開されています。今は改正内容と社内準備を先に進め、10月頃に正式な年末調整ページ・様式を再確認するのが実務的です。
出典:国税庁|年末調整がよくわかるページ(令和7年分)|令和8年分は10月頃公開予定
まとめ|2026年の年末調整は「12月に始める」のでは遅い
2026年の年末調整では、基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正などがあり、原則として2026年12月1日から施行されます。ポイントは、11月までの毎月の源泉徴収と12月の年末調整を分けて考えることです。
小規模事業者が今やるべきことは、税制をすべて暗記することではありません。給与ソフトの対応状況を確認し、従業員一覧を整え、申告書・証明書の回収日程を決め、不明なケースだけを早めに専門家へ確認できる状態にしておくことです。
「今年の年末調整は何から確認すればいいか分からない」「給与ソフトの変更も含めて整理したい」という段階でも構いません。ぴくさぽでは、日々の給与計算やバックオフィス業務を整理し、必要に応じて税理士・社会保険労務士等と連携しながら、事業者が本業に集中しやすい環境づくりを支援しています。

