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36協定とは?従業員1人でも必要?中小企業の残業ルールと届出5ステップ

目次[非表示]

  1. 1.①従業員1人でも、法定時間外労働などをさせるなら原則必要
  2. 2.②協定を出しても残業は無制限にならない
  3. 3.③「代表者の選出・届出・勤怠管理」を一つの流れにする
  4. 4.例外にも注意|一部の小規模事業場は週44時間の特例
  5. 5.2026年の新制度と誤解しない|上限規制の適用時期
  6. 6.比較表|どんなときに36協定を確認する?
  7. 7.失敗1|社長が「この人でいい」と代表者を決める
  8. 8.失敗2|去年の届出を毎年使えると思っている
  9. 9.失敗3|36協定を出したので残業代は不要と思う
  10. 10.失敗4|月45時間以内なら、休日出勤を見なくてよいと思う
  11. 11.失敗5|繁忙期だけ急に特別条項を作る
  12. 12.STEP1|実際の勤務時間と休日を把握する
  13. 13.STEP2|過半数代表者を適正に選出する
  14. 14.STEP3|協定内容を決め、最新の様式を作成する
  15. 15.STEP4|労働基準監督署へ事前に届け出る
  16. 16.STEP5|毎月の勤怠・給与計算と照合する
  17. 17.Q1.従業員が1人だけでも36協定は必要ですか?
  18. 18.Q2.毎月残業がなくても36協定を出すべきですか?
  19. 19.Q3.残業代を支払えば36協定は不要ですか?
  20. 20.Q4.飲食店なら週44時間までは必ず残業ではありませんか?
  21. 21.Q5.36協定は一度提出すれば更新不要ですか?

この記事は、従業員1~20名程度の会社・個人事業主で、残業や休日出勤があるのに「36協定(サブロク協定)」をきちんと確認できていない経営者・総務担当者向けです。飲食店、製造業、建設業、事務所など、業種を問わず基本を整理します。

「従業員が3人しかいないから不要?」「残業代を払えば届出はいらない?」「以前に提出した36協定を今年も使える?」。こうした疑問は、従業員数の少ない事業所ほど起こりやすいものです。36協定は、時間外労働や法定休日労働を行わせる際の労使協定です。会社が独自に残業時間を決める書類でも、残業代を免除する仕組みでもありません。

この記事では、法律上の必要性、時間外労働の上限、過半数代表者の選び方、届出の順番、給与計算との関係までを、実務で使えるチェックリストと具体例で説明します。2026年10月時点で確認できる厚生労働省・労働局の公表情報を基にしていますが、変形労働時間制や建設・運送・医療等には別の取扱いがあるため、個別の適用は労働基準監督署や社会保険労務士に確認してください。

結論|36協定で押さえるべき3つのポイント

①従業員1人でも、法定時間外労働などをさせるなら原則必要

労働基準法は、原則として1日8時間・週40時間を法定労働時間としています。これを超えて働かせる場合や、法定休日に働かせる場合は、あらかじめ労働者側と36協定を締結し、所轄労働基準監督署へ届け出る必要があります。「常時10人以上でないと不要」という理解は誤りです。10人以上の就業規則届出義務とは別の制度です。

出典:厚生労働省|労働時間・休日

②協定を出しても残業は無制限にならない

時間外労働の上限は、一般の事業では原則として月45時間・年360時間です。特別条項が必要な臨時的事情があっても、年720時間以内、時間外・休日労働の合計が単月100時間未満、2~6か月平均80時間以内、月45時間超は年6か月まで、といった上限を守る必要があります。協定書に大きな数字を書けば認められるわけではありません。

出典:厚生労働省|働き方改革特設サイト|時間外労働の上限規制

③「代表者の選出・届出・勤怠管理」を一つの流れにする

労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は、適正に選ばれた過半数代表者との書面協定が必要です。代表者を会社が一方的に指名する運用は避けましょう。締結・届出だけでなく、有効期間、残業時間の実績、割増賃金まで毎月確認して初めて、日常業務として機能します。

出典:山梨労働局|時間外・休日労働に関する協定(36協定)について

背景|「残業代を払えばよい」では済まない理由

36協定は労働基準法第36条に基づく仕組みです。法律が原則として制限している時間外・休日労働について、労使が必要な範囲を協定し、行政官庁へ届け出ることで、その協定の範囲内で行えるようにします。協定がないまま法定時間外労働や法定休日労働を行わせると、残業代を支払っていても別途問題になります。

ここで重要なのは「会社の所定労働時間」と「法律上の労働時間」を区別することです。たとえば契約上の勤務時間が9時~17時、休憩1時間で実働7時間の人が18時まで働いた場合、実働8時間となります。この1時間は所定時間を超えていますが、通常は法定時間外労働には当たりません。もっとも、就業規則・雇用契約に基づく賃金の支払義務は別途確認が必要です。

反対に、実働8時間の勤務後にさらに1時間働けば、一般には法定時間外労働になります。週40時間を超えるかどうかも確認します。1日だけでなく週単位の集計が必要なため、日々の勤怠を正しく記録しておくことが前提です。

出典:厚生労働省|労働条件・職場環境に関するルール

例外にも注意|一部の小規模事業場は週44時間の特例

常時10人未満の商業、映画・演劇業の一部、保健衛生業、接客娯楽業では、週の法定労働時間が44時間となる特例があります。ただし、1日8時間という原則は変わりません。飲食店や小売店だから必ず44時間というわけでもなく、事業場の業種区分・人数などを確認します。変形労働時間制を採用している場合は、さらに別の判定が必要です。

出典:和歌山労働局|労働時間(第32条・第40条)

2026年の新制度と誤解しない|上限規制の適用時期

一般の中小企業に対する時間外労働の上限規制は2020年4月から適用されています。建設事業、自動車運転の業務、医師などは2024年4月から新たな規制が適用され、業務によって特例・別基準があります。したがって、36協定を「2026年10月から新たに始まる制度」と説明するのは正確ではありません。2026年の現在も継続して守るべき基本ルールです。

出典:厚生労働省|建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制

比較表|どんなときに36協定を確認する?

働き方の例

36協定の確認

注意点

実働7時間→8時間

通常、法定時間外には該当しない

契約上の賃金・所定外労働は別途確認

実働8時間→9時間

原則必要

日8時間超の法定時間外労働

法定休日に勤務

原則必要

所定休日と法定休日を区別する

毎日8時間以内でも週40時間超

原則必要

週44時間特例・変形制の適用は個別確認

残業ゼロ、法定休日労働ゼロ

通常は36協定を要しない

今後の繁忙期を想定して確認

※表は一般的な固定労働時間制の例です。特例事業場、変形労働時間制、裁量労働制等では結論が変わることがあります。

今すぐできる対策|36協定チェックリスト10項目

現在の勤怠表と昨年の届出控えを手元に置き、次の10項目を確認してください。従業員が少ない場合も、管理者が毎月同じ基準で点検できる形にすることが大切です。

·       □ 従業員に法定時間外労働または法定休日労働があるか確認した

·       □ 事業場ごとの法定労働時間と週44時間特例の有無を確認した

·       □ 36協定の有効期間・起算日・届出控えを確認した

·       □ 過半数代表者の選出方法を記録している

·       □ 協定に残業・休日労働の具体的な理由と対象業務を記載した

·       □ 原則の月45時間・年360時間の範囲を確認した

·       □ 特別条項が必要か、必要なら臨時的事情と上限を確認した

·       □ タイムカード等で実際の始業・終業時刻を把握している

·       □ 残業時間・休日労働時間を毎月集計し、上限と照合している

·       □ 給与計算の割増賃金と協定の有効期間を定期的に点検している

10項目すべてを一度に完璧にする必要はありません。最初に「今の協定はいつまで有効か」「誰が残業実績を集計しているか」の2点を確認すると、優先順位が見えやすくなります。協定の内容と実際の働き方に差がある場合は、届出だけを急がず勤務体制そのものを見直しましょう。

よくある失敗と回避策|小さな会社で起こりやすい5例

失敗1|社長が「この人でいい」と代表者を決める

36協定は、会社と労働者側が合意する書面です。過半数代表者は、管理監督者ではないこと、36協定の締結者を選ぶことを明らかにしたうえで、投票・挙手など労働者の意思を反映した方法で選ばれる必要があります。会社が一方的に選んだ代表者では、協定の有効性に問題が生じるおそれがあります。選出案内と結果を記録しましょう。

出典:厚生労働省|確かめよう労働条件|36(サブロク)協定とは

失敗2|去年の届出を毎年使えると思っている

36協定には有効期間があり、会社の実際の労働時間管理と対応している必要があります。昨年提出した書類があるからといって、無期限に有効とは限りません。協定書の有効期間、対象期間の起算日、特別条項の有無を確認し、期限前に更新・届出の準備をします。更新を「年度末の作業」と決めつけず、自社の協定期間に合わせて管理します。

失敗3|36協定を出したので残業代は不要と思う

36協定は残業をさせるための法的手続きであり、割増賃金の免除制度ではありません。法定時間外労働は原則25%以上、法定休日労働は35%以上、深夜労働は25%以上の割増賃金が必要です。月60時間超の法定時間外労働には50%以上の割増率が適用され、中小企業にも2023年4月から適用されています。

出典:厚生労働省|労働条件・職場環境に関するルール|労働時間・休憩・休日

失敗4|月45時間以内なら、休日出勤を見なくてよいと思う

特別条項がある場合でも、単月100時間未満・2~6か月平均80時間以内の判定には法定休日労働を含めます。一方、年720時間は時間外労働についての上限です。月次の勤怠表を「時間外」「法定休日」の2欄に分け、必要に応じて合計を計算すると誤りを減らせます。

失敗5|繁忙期だけ急に特別条項を作る

特別条項は、通常予見できない業務量の大幅な増加など、臨時的な特別の事情に備えるものです。「忙しいから毎月60時間」といった恒常的な長時間労働を正当化する仕組みではありません。受注量、納期、人員配置を見直し、特別条項が必要かを事前に検討してください。

出典:厚生労働省|時間外労働の上限規制

具体的な進め方|36協定の準備から運用までSTEP1~5

STEP1|実際の勤務時間と休日を把握する

まず、直近2~3か月の勤怠を見て、各人の所定時間、実労働時間、法定時間外労働、法定休日労働を分けます。飲食店なら開店前の準備・閉店後の片付け、建設業なら現場移動や待機の扱いなど、実態に即した確認が必要です。タイムカードに記録がない時間でも、指揮命令下の業務なら労働時間に当たる場合があります。

出典:厚生労働省|ハローワークインターネットサービス|労働法等に関する解説

STEP2|過半数代表者を適正に選出する

過半数労働組合がない場合は、労働者に「36協定を締結する代表者を選ぶ」目的を伝え、投票・挙手などで代表者を選びます。管理監督者に当たらないかを確認し、選出の日時・方法・結果を記録します。従業員3人の会社でも、会社が指名して署名をもらうだけの運用は避けます。

STEP3|協定内容を決め、最新の様式を作成する

対象業務、時間外労働が必要な具体的理由、1日・1か月・1年の延長時間、休日労働の内容、協定の有効期間などを整理します。一般の事業で特別条項が不要なら様式第9号、必要なら様式第9号の2が基本です。建設・運転・医師等には別様式があるため、古いひな形をそのまま流用しないようにします。

出典:大阪労働局|時間外・休日労働に関する労使協定届|様式・記載例

STEP4|労働基準監督署へ事前に届け出る

協定を締結しただけでは足りず、時間外・休日労働を行わせる前に、事業場を管轄する労働基準監督署へ届け出ます。電子申請も利用できます。提出した届出控えと協定書、代表者の選出記録を同じフォルダに保存し、次回更新予定を社内カレンダーへ登録すると管理しやすくなります。

出典:岡山労働局|労働基準法に基づく各種届出について

STEP5|毎月の勤怠・給与計算と照合する

届出後は、毎月の残業時間を協定の上限と照合し、必要な割増賃金が支払われているか確認します。特別条項の月45時間超の回数も年間で管理します。たとえば「毎月末に店長が勤怠確定→翌営業日に経理担当が残業集計→給与計算前に上限確認」という順番を決めると、書類と実務がつながります。

具体例|従業員5人の飲食店で考える

神戸市内で従業員5人の飲食店を営み、通常は1日8時間以内でシフトを組んでいるとします。繁忙日に閉店後の片付けが長引き、ある従業員が1日9時間働く日が出てきました。飲食店は一定の条件で週44時間の特例に該当する可能性がありますが、1日8時間の法定労働時間まで自動的に延びるわけではありません。法定時間外労働が生じるなら36協定の確認が必要です。

店長が「人手不足だから毎日1時間延長」と決めるだけでは不十分です。まず勤務実績を把握し、繁忙日がどれほどあるかを見積もり、必要な範囲で36協定を整えます。そもそも閉店後の片付けを減らせないか、シフトをずらせないかも検討します。協定に頼るより、仕事の配分を見直す方が従業員の負担を減らせる場合もあります。

兵庫県内の届出先は事業場の所在地で決まります。たとえば神戸市中央区・灘区は神戸東労働基準監督署、尼崎市は尼崎労働基準監督署の管轄です。神戸市東灘区は西宮労働基準監督署の管轄であり、「神戸市内ならすべて神戸東」とは限りません。所在地を確認してから提出してください。

出典:兵庫労働局|労働基準監督署の所在地一覧・管轄

外注・相談する判断基準|届出だけでなく給与・勤怠も一緒に確認

従業員が少なく勤務形態も単純なら、自社で勤怠を集計し、厚生労働省の様式や作成支援ツールを使って準備することも考えられます。一方、月によって残業が大きく変動する、休日出勤が多い、複数店舗がある、変形労働時間制を使っている、給与計算で割増率の判定に迷う、といった場合は専門家への確認をおすすめします。

まず社内で整理したいのは「誰が、何時から何時まで、どの休日に働いたか」という事実です。制度の解釈が必要な場面では、労働基準監督署や社会保険労務士に確認し、書類作成・届出など資格が必要な業務についても適切な専門家と役割分担します。単に書類を出すだけでなく、毎月の勤怠と給与計算が合っているかまで確認できる仕組みを作ることが大切です。

関連記事「初めて従業員を雇うときの手続きガイド」は、採用時の勤務条件・勤怠管理の設計を確認したい方に役立ちます。「社会保険・労働保険の手続き」は、雇用後の事務全体を整理したい方に向いています。「バックオフィス代行とは?」は、給与計算や経理の属人化を見直したい方におすすめです。いずれも36協定そのものとは検索意図が異なるため、必要な箇所から参照してください。

ぴくさぽは70年以上、神戸・尼崎を中心とする阪神地域の中小事業者の記帳、給与計算、労働保険事務、経営相談を支援してきました。「残業の集計方法が分からない」「まず何を確認すればよいか」という段階でも、勤怠・給与データの整理から相談できます。法的な協定内容や労務判断、専門的な届出は社会保険労務士等と連携・確認して進めます。

よくある質問|36協定のFAQ

Q1.従業員が1人だけでも36協定は必要ですか?

はい。従業員数にかかわらず、その労働者に法定時間外労働や法定休日労働をさせる場合は、原則として36協定の締結・届出が必要です。就業規則の「常時10人以上」という届出基準とは別に考えます。

Q2.毎月残業がなくても36協定を出すべきですか?

法定時間外労働も法定休日労働も行わせないのであれば、通常はそのための36協定は不要です。ただし、急な受注や人員不足で今後残業が見込まれるなら、実際に行わせる前に準備が必要です。協定なしで先に残業させ、後から届出する運用は避けましょう。

Q3.残業代を支払えば36協定は不要ですか?

いいえ。36協定の締結・届出と、割増賃金の支払義務は別です。協定がある場合でも、法定時間外・法定休日・深夜労働の割増賃金は法令に従って支払う必要があります。

Q4.飲食店なら週44時間までは必ず残業ではありませんか?

一律には言えません。常時10人未満の一定業種に週44時間特例がありますが、1日8時間の原則は残ります。また、業種区分、人数、就業規則や雇用契約、変形労働時間制の有無によって判断が変わります。自社の条件を確認してください。

Q5.36協定は一度提出すれば更新不要ですか?

いいえ。協定には有効期間があり、期間満了後も時間外・休日労働を行わせるなら、次の期間に対応する協定と届出を確認する必要があります。実務では有効期間を年間管理表に記載し、期限前に担当者へ通知する仕組みが有効です。

まとめ|36協定は「届出」より「毎月守れる運用」が重要

36協定は、従業員数が少ない会社にも関係する労働時間の基本ルールです。法定時間外労働や法定休日労働がある場合は、適正に選ばれた労働者代表等と書面で協定し、事前に労働基準監督署へ届け出ることが原則です。一般の事業では月45時間・年360時間が基本的な上限であり、特別条項があっても無制限にはなりません。

実務では、①実際の勤務時間を把握する、②代表者を適正に選ぶ、③協定内容を決める、④事前に届け出る、⑤毎月の勤怠・給与計算と照合する、という5ステップを一つの流れにしましょう。制度を知ることと同じくらい、担当者が変わっても続けられる管理方法を作ることが重要です。

ぴくさぽでは、神戸・尼崎を中心に、給与計算や労働保険事務などのバックオフィスを支援しています。「今の勤怠表で残業を正しく把握できているか」「どこから専門家に確認すべきか」といった小さな疑問からご相談ください。必要な情報を整理し、専門的な労務判断は社会保険労務士等との連携も含めて適切な相談先につなぎます。

協同組合阪神商工共済会
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創業70年の実績がある協同組合です。 近年重要さが増しているスタートアップ支援、バックオフィス業務の整備などをサポートしています。 給料計算、会計データ入力などの経理部門はもちろん、人を雇用した際の社会保険・労働保険手続き、さらには販売促進や設備投資の際の補助金申請サポートまで幅広い範囲知見をもとに執筆いたします。